コールドプロセスの石鹸が普及しにくい理由 コスト・法律・劇物の観点から


 

先日、僭越ながら「石鹸男子座談会」(笑)なる企画に参加させていただきました。
改めて、「何故石鹸なのか?」と尋ねられ、言葉にする事による発見と反省がありました。

最近は、なんにも考えず、当たり前に石鹸を使っており、なんでハマったかすら上手く思い出せない体たらくでした……。

私が(コールドプロセスの)石鹸にハマったのは、元々は、皮膚が弱い愛犬にとってベターなシャンプーが無いかどうか調べたのがきっかけでした。
そして、ALL ABOUTの里見先生の記事にたどり着き、先生の犬用石鹸を購入。

そして、それを愛犬と自分に使ったら、ウヒョー!となり、販売するまでに至ったわけです。

「こんなに素晴らしいものを何故、みんな使ってないの?」

「こんな良いものなのに、なんで今まで、知らなかったんだろう」

素朴な疑問でした。

それを、コストと法律、劇物を使用するという観点から紐解いてみます。

コスト

ざっとアマゾンで、最も安く売られているコールドプロセス石鹸の単価を見ると、
1gあたり11.15円でした。
対して、メリットの詰め替えが1mLあたり0.84円
1mL=1gとする雑な比較で13.3倍の差です。

これを自分で作ると、もっと安く抑えることは可能です。
比較的ポピュラーなオリーブオイルのコールドプロセス石鹸を作るとして、コストを出してみました。

ピュアオリーブオイル458g 811円
苛(か)性ソーダ450g 378円 内59gを使用するので (378円÷450g)×59g=50円
精製水500mL 370円 内137mLを使用するので 370円÷500mL)×137mL=101円

合計962円

※価格は2017年9月1日時点 ※実際は異なりますが、出来上がりサイズも458gとします

余った苛性ソーダと精製水を次回制作に使わない場合はもっとコストがかさみますが、道具代を抜きにして、962円÷458g=1gあたり2.1円という事になります。これは魅力です。

こうしてみると、自作ならば、コストのハードルはそう高くないと言えるでしょう。

ただ、自分で作る方はコストよりも、「自分好みに作れる」というのを醍醐味にしている場合が多いです。
使用感を増すために、ホホバ油(21.51円/g)ひまし油(4.77円/g)を足したりして、それはそれは、贅沢な石鹸を割安に作れるんだから、たまりません。

更に、デザインも凝ったりする方は視覚的喜びも味わえるんです。
私ならザク豆腐を型にしてザク石鹸ですかね。ザクのくせに肌しっとりすべすべとかサイコーです。

「こんなのをプレゼントしたらきっと喜ばれる!」と思うのは自然な流れですが、人用に配布する事はできません。

法律

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

第12条 次の表の上欄に掲げる医薬品(体外診断用医薬品を除く。以下この章において同じ。)、医薬部外品又は化粧品の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に定める厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の製造販売をしてはならない

医薬品、医薬部外品又は化粧品の種類 許可の種類
第49条第1項に規定する厚生労働大臣の指定する医薬品 第1種医薬品製造販売業許可
前項に該当する医薬品以外の医薬品 第2種医薬品製造販売業許可
医薬部外品 医薬部外品製造販売業許可
化粧品  化粧品製造販売業許可

 

第13条 医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造業の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の製造をしてはならない

 

人体に使う石鹸は化粧品、薬用成分が含まれれば、医薬部外品に該当します。違反した場合は1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(第86条)とあります。

この中の「業として」の解釈が難しいですが、広島県ではプレゼントでも明確に駄目!としているので、あくまで、個人や家庭で楽しむ分には規制対象外と解釈しています。
また、犬用なら配布可能ですが、法律上規制されてないというだけであって、相当の責任を負うのは犬も人も変わりありません。

苛性ソーダは劇物

劇物とは
判定基準を大人で換算すると、たとえば誤飲した場合の致死量が、2 – 20g程度のもの。あるいは刺激性が著しく大きいもの。GHSにおける急性毒性区分3、皮膚腐食性区分1、眼傷害性区分1に相当。法別表で93品目、毒物及び劇物指定令で296品目を定めている。(wikipedia)

 

コールドプロセスの石鹸では、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)という劇物を使用します。取扱いの注意事項として、日本ソーダ工業会の「安全なか性ソーダの取扱い」より抜粋します。

2.か性ソーダの一般的特徴
・もっとも代表的な強アルカリで、爆発や発火の危険はありませんが、いろいろな酸(例えば塩酸)と反応して中和し、かなりの中和熱を出します。
・アルミニウム、スズ、亜鉛等の金属を浸し、その際水素を発生しますので爆
発性の気体を生ずる恐れがあります。
・吸湿性が強く、空気中の水分や炭酸ガス、二酸化硫黄等を吸収します。また
潮解性が強いので水分を吸収して水溶液となります。
・液体か性ソーダを希釈するときは相当大きな希釈熱を出します。不用意に注
水すると激しく発熱して液がとび散ることがありますから注意が必要です。
・動物性繊維は容易に腐食されます。植物性繊維も腐食されますが、前者より
かなり耐食性があります。耐食材料としてステンレス、鋼―エポキシ、鋼―
ステンレス、FRP等がありますが、鋼、鋼―ゴムが多く使われています。
3.か性ソーダの人体に対する影響
・アルカリはタンパク質を分解する作用があり、付着したアルカリを完全に除
かない限り、しだいに組織の深部に及ぶ恐れがあります。特に眼に触れると
その組織を急速に侵し、視力の低下や失明を起こすことがありますので注意
が必要です。
・希薄な溶液でも繰返し接触していると皮ふ表面の組織を侵し、皮ふ炎または
慢性湿疹となります。
・濃度が濃いときには急激に局部を腐食します。
・誤って液を飲みこむと口腔、咽喉、食道、胃などに炎症を起こします。
・粉じんやミストを吸入しても気道に種々の程度の傷害を受けます。そのため
に作業室内の空気中のか性ソーダの粉じんまたはミストの許容濃度は
2mg/m3
(上限値)とされています。

ガク((( ;゚Д゚)))ブル

私が今まで入手した手作り石鹸の書籍には失明のリスクまで強調していませんでした。
私も、今一度、気を引き締めて、苛性ソーダを取り扱いたいと思います。

結論

(*゚▽゚)/゚・:*【コールドプロセス石鹸が普及しにくい理由】*:・゚\(゚▽゚*)

第1位 コストが高いから

(=広告宣伝費をペイできる数がさばけない=ほとんどの人が良さを(どころか存在すら)知らない=自作にも目が向かない)

自作すれば、自分好みの素晴らしい石鹸を割安に作れますが、劇物(苛性ソーダ)を使うのと、そもそも自作自体がハードルです。せっかく、素晴らしい石鹸を作ったとしても、ご近所さんにおすそ分けして自慢できません。

言い換えると、正しい知識自作すれば「自分好みの」「素晴らしい石鹸」「自分や愛犬のためだけに」「割安に」作れるのです。

では、どうすれば正しい知識を得ることができるのでしょうか?出来ることなら、座学だけではなく、実習付で習うことができればいいですよね。

そこで、各地で開催されている石鹸教室の出番です。でも、せっかく教わるならば、正しい先生から教わりたい。では、どうやって判断すればいいのか?

それは、信頼できそうな協会や団体の資格を所有しているかどうか?が分かりやすい目安になります。私がお世話になっている里見先生が所属している協会が以下になります。

一般社団法人ハンドメイド石けん協会

手作りならではの良さと、安心安全なコールドプロセス石鹸を広めるために尽力している組織です。ここの資格を持っている先生から学べば安心でしょう。

ああ、社団法人やNPO法人を立ち上げる方々の理念を垣間見た気がします。

敬具

(2位は??)

↓私が売っている「犬用石鹸」はこちらです!
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